【目指せ若葉カップ男女同時制覇!】小平ジュニアバドミントンクラブトレーナーの挑戦記 vol.1

mintonブログをご覧のみなさま、はじめまして。

この度、ご縁がありましてmintonブログで記事を書かせていただくことになりました、パーソナルトレーナーの近藤と申します。

私は普段、一般の方からアスリートまで幅広い方を対象に、痛みの改善,ダイエット,トレーニング,コンディショニング等の運動指導を行っており、最近ではプロ格闘技チームやフットサルチームなどのチームサポートにも関わっています。

そして私自身中学生のときからバドミントンを続けているということもあり、いくつかのバドミントンチームでもトレーナーとしてサポートをさせていただいていて、その繋がりで今回お声がけをいただきました。

本ブログでは、私の持つ知見やノウハウを出来る限り分かりやすくお伝えしていければと思っています。

どうぞよろしくお願いします。

小平ジュニアについて

本記事では、私がサポートさせていただいているチームの一つである「小平ジュニアバドミントンクラブ」で行っている取組みについてご紹介できればと思います。

“ジュニア期におけるトレーニングやコンディショニング” については、ジュニア指導に関わるコーチや保護者の方からご質問をいただくことも多く、「普段のトレーニングやウォーミングアップはどんなことをすればよいか?」「スピードやパワーを上げるためにはどうしたらよいか?」「怪我を予防するためには何をすればよいか?」などの悩みを抱えている方は少なくないと思います。

とは言え、全ての方がトレーナーによる専門的な指導を受けることは難しいと思いますので、この記事の内容が少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。

小平ジュニアバドミントンクラブのご紹介

今年で創立40周年を迎える、歴史と伝統のあるジュニアチーム。

小平市を中心に、幼児〜小学生とその保護者で構成されている。

米倉加奈子選手,佐藤翔治選手,上田拓馬選手,渡辺勇大選手など、日本国内に止まらず世界を舞台に活躍する選手を多数輩出。

若葉カップでは2008年〜2010年の男子三連覇、2013年女子優勝、2016年男子優勝、その他ABC全国大会や全国小学生大会での優勝や入賞など数々の輝かしい功績を残している。

「小平魂」をスローガンに、若葉カップ男女同時制覇を目指す。

チームのWebサイト、ならびに城戸監督のブログでもいろいろと情報発信されていますので、よろしければ覗いてみてください。

全国大会常連、ナショナル選手も輩出する名門チームの第一印象とは?

小平ジュニアのサポートを担当させてもらうことが決まり、私がまず最初に取り組んだのは「サポート内容の優先順位を決める」という作業でした。

私の役割を一言で表現すれば、『競技パフォーマンスを向上させるための身体作りや動き作り』です。

しかし、これを実現するためには多くの取組みが存在します。

例えば、スピードを上げるのか、ジャンプ力を上げるのか、アジリティを向上させるのか、柔軟性を高めるのか、体幹の安定性を向上させるのか、スタミナをつけるのか・・・など、あげればキリがありません。

その全てを一気に向上させようと考えると、時間も足りませんし、選手に無理が生じます。何より、技術練習に悪い影響(選手のオーバーワークや技術練習時間の減少)が出てしまう懸念があります。

ですので、練習時間や練習量、年間を通しての試合スケジュール、選手の身体の状態やコートでの動き、チームの課題、監督やコーチの指導観などを把握し、「何を、どのような優先順位で取り組むのか」をある程度整理したうえで取り組む必要がありました。

小平ジュニアの第一印象は、監督やコーチ、保護者のみなさまが一体となり、チーム運営も含めとても洗練されているなという印象でした。

さすが創立40周年という伝統のあるチームだけあり、監督やコーチ、保護者コーチも一流の指導者が揃っております。

練習内容も質が高く、選手に求めるパフォーマンスのレベルも非常に高い。

しかし一つだけ気になったのは、どこかに痛みを抱えている選手が多いということでした。

痛みを訴える箇所は、膝から下(膝・ふくらはぎ・アキレス腱・足底)が最も多く、その次に腰、肩や肘が若干名。

  • チーム運営しっかりしている
  • 指導陣も一流
  • 練習の質は高く、強度の高い練習もある
  • 傷害を抱えている選手が多数

この状況を踏まえると、「傷害をコントロール(抑制)することができれば、自然とパフォーマンスに貢献できるのではないか」と考えました。

傷害を予防するための仕組み作り

ここからは、自分の”やるべきこと”が固まってからの1年間の取組みと、その結果についてご紹介できればと思います。

これはどのチームにも言えることですが、傷害をコントロールするためには、そのための “仕組み作り” が必要です。

私の場合、以下のような流れでその仕組みを構築していきました。

  • 選手全員のコンディションやチームの傾向を確認し、指導陣と共有
  • 傷害予防プログラムの作成
  • チーム全体の傷害予防に対する意識の向上
  • 慢性傷害を食い止めるための仕組みづくり

選手全員のコンディションやチームの傾向を確認し、指導陣と共有

まず最初に、選手全員のコンディションをチェックします。

チェック方法は、前屈・後屈・側屈・回旋・片足立ち・踏み込み動作・しゃがみこみなど、シンプルな動作で確認することが多いです。

すると「そのチームや競技における一定の傾向」が見えてきます。

どの部分に傷害が多く、どの時期に傷害が増えるのか。また、どのような動きができないのか。その要因はどこにあるのか。

そして、その傾向と所感を監督やコーチに共有します。

このとき、実際に会話をして伝えることはもちろんですが、必要に応じて選手の気になる動きの動画や資料を作成して(Facebookグループで)共有するなど、できる限り細かく伝えられるよう工夫しながら子コミュニケーションを図りました。

傷害予防プログラムの作成

小平ジュニアの場合は、合宿後や試合が続くいわゆる試合期、地域協会の強化練習後などに傷害が多くなる傾向がありました。

つまり、強度の高い練習が一定期間続く時期に傷害が多くなります。

そして、傷害の箇所としては、膝から下が多い傾向がありました。

そのような傾向を把握し、次は選手のオンコートでの動きを観察しました。

すると、リアクションステップ時に猫背になっていたり、ネット前での踏み込みで頭が落ちてしまっていたり、左右の動きの中で頭が大きく振られてしまったり、いわゆる”よくない動き”の特徴を発見しました。

その中から包括的に判断し、私が早々に手をつけるべきと感じたことは、「頭部・軸を安定させる感覚」「姿勢やパワーポジションといった基本の動き作り」でした。

強度の高い練習が一定期間続くと、あまりよくない動きが助長され、過度の負担が膝から下にかかっているのではないかと仮説を立てたわけです。

そして、その項目に基づいたウォーミングアップとクールダウン(身体のケア)のプログラムを作成しました。

このとき作成したプログラムが、「小平ジュニア11(イレブン)」と命名したコンディショニング種目や、「アニマルムーブメント」と言われる動物の動きを模した運動です。

※これらの実際に行った運動の内容は次回以降の記事でご紹介予定ですが、以下書籍・DVDにも一部紹介されております。

チーム全体の傷害予防に対する意識の向上

選手たちには、コンディショニングやトレーニングの際中だけでなく、オンコートでの練習の際中も「頭部(目線)を安定させる!」「姿勢を意識する!」ということを常に伝えていきました。

実際に、悪い姿勢での動きと望ましい姿勢での動きを比較して違いを感じてもらったり、トレーニングの最後の種目はできる限りオンコート種目にするなどして、トレーニングとオンコートの動きを結びつけて考えられるよう工夫しながら、選手一人一人の意識を高めていきました。

慢性傷害を食い止めるための取り組み

他にも、「ストレッチ習慣表」を作り、その中に「怪我の多い箇所ランキング」なども添え、特に傷害の多い部分に対する意識を高め、セルフコンディショニングを啓蒙していきました。

このような取組みの中で、ちょっと心配な子や、痛みを訴える子がいた場合は、個別に改善プログラムを提供します。

このように、「チーム全体の取組み」と「個別のアプローチ」を行い、慢性傷害を効率良く、事前に食い止めるための仕組みを構築していきました。

ストレッチ習慣表

取組みの成果

現在も、傷害予防のための仕組み作りは完成には至っていませんし、チームの状況に合わせて常にブラッシュアップしています。

最近では、男子よりも女子のほうが膝の痛みを訴える確率が高い傾向にあり、女子の膝傷害予防プログラムを作成している最中です。

現状、練習を休まなくてはならない選手が出ることは完全にゼロではありませんが、かなり抑えることができていますし、休んだとしても早期に復帰をしています。(長期離脱者はゼロ)

監督やコーチからも「明らかに怪我が減った」と評価して頂いています。

さいごに

子どもは “大人の縮小版” ではありませんし、子どもは疲れにくいとか、回復が早いといったこともないと思います。

子どもだってオーバーワークすれば怪我の確率は上がりますし、ケアを怠ればパフォーマンスは下がります。大きな怪我や慢性傷害は、これからの長いバドミントン人生において大きな損失となります。

また、傷害予防とパフォーマンスアップは表裏一体です。効率の良い動きや身体作り、柔軟性の向上は、ダイナミックな動きや姿勢の安定にも寄与します。

ジュニア世代は、しっかりとトレーナーがサポートに入っているチームがほとんどありません。

しかしながら、ジュニアの子達は日に日に身体が大きくなっていきますし、関節の安定性や筋力などのフィジカル要素も未熟です。

成長の度合いも千差万別で、選手の将来性も担保しながら競技成績の向上を図るとなると、さまざまな知識や指導スキル、経験が必要となります。

本来であればもっとたくさんのジュニアチームにトレーナーが関わるべきという想いを持ちつつも、現実的にはなかなか難しいということも感じています。

私の発信する記事をより多くのジュニア指導に携わる方にご覧いただき、ジュニア期における日々のトレーニングやコンディショニングメニューを考察するうえでの一助となれば幸いです。

バドミントンに限らず、どのスポーツでもトップで活躍できる選手になるためには厳しい練習は不可欠です。

その厳しい練習に耐えられる身体を作り、傷害をコントロールし、状況に応じたコンディショニングの知識を身につけて欲しい、身につけさせるんだという気持ちで、今後もサポートを続けていきたいと思っています。

若葉カップ男女同時制覇』という大きな夢に向かう子どもたちと共に、私の挑戦は続いていきます。


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